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【法人の代表者の代理権が消滅した場合の取消し】
委任による登記申請代理権の不消滅に関する規定が新設されたが、委任者の法定代理人の代理権が消滅した場合もこれに該当し(法17条4号)、この場合の法定代理人には法人の代表者も含まれる。したがって、規則36条1項1号又は2号に規定する場合において、申請書に添付された登記申請の代理権限を証する書面の作成名義人である法人の代表者が現在の代表者でないと認められるときであっても、次ぎに掲げる場合には、これを適法な登記申請の代理権限を証する書面の添付があるものとして扱う。なお、その申請が令16条2項又は令18条2項の申請であるときは、当該代表者の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のものに限る)の提出があることを要する。

 ア 登記申請の代理人が当該代表者の代表権限が消滅した旨及び当該代表者が代表権限を有していた時期を明らかにし、当該法人の登記簿でそのことを確認することができる場合

 イ 当該代表者の代表権限を証する書面(作成後3ヶ月以内のものに限る)が申請書に添付されている場合(平成5.7.30)

【代理権の不消滅に関する規定が適用される場合の添付書類】
登記名義人が登記申請の委任をした後死亡した場合において、相続人がその委任を受けた代理人により当該委任に係る代理権限証書を添付して登記の申請をするとき当該申請が令16条又は令18条2項の適用を受けるものである場合には、申請書に、相続を証する書面のほか、登記名義人の印鑑証明書(作成後3ヵ月以内のものに限る)の添付を要する。

 登記申請の委任をした法人の代表者の代表権限が消滅した場合において、その委任を受けた代理人が当該委任を受けた代理人が当該委任に係る代理権限証書を添付して登記の申請をするとき申請書に添付された登記申請の代理権限を証する書面の作成名義人である法人の代表者が現在の代表者でない場合には、当該代表者の代表権限を証する書面として申請書に添付する書面には、当該代表者が代表権限を有していたことを明らかにする当該法人の閉鎖登記簿謄本が含まれる。閉鎖登記簿謄本は、作成後三ヶ月を超えるものであっても差し支えない。
なお、上記のような書面を添付して申請をするときは、その代理人において当該代表者の代理権限が消滅している旨を明らかにする必要がある。

基本通達第2の一のなお書については、当該代表者の印鑑について商業登記規則第9条の2の規定による処理がされた印鑑に係る記録が保存されているときであっても、印鑑証明書の提出を要する。

所有権の登記がある土地の合筆又は建物の合併の登記並びに所有権の登記がある建物の合体による表題の登記を委任による代理人によって申請する場合には、申請人又はその代表者は、当該代理人の権限を証する情報を記載した書面に押印した印鑑証明書を添付しなければならない。この印鑑証明書は、作成後三ヶ月以内のものでなければならない。(平成6.1.14 民三365号回答)

 

【委任代理人が複数の場合】
委任状において、複数の代理人が選任されていることが明らかな場合には、特に共同代理の定めがされていない限り、右の代理人が各自単独で登記申請行為を代理しうるものとされている。(昭和40.8.31民事甲2476号回答)

 

【未成年者が連帯債務者である場合】
親権者甲が、未成年の子乙、丙を連帯債務者として、甲、乙、丙共有の不動産に対して抵当権の設定をする場合には、民法第826条第2項の規定により特別代理人の選任を要する(昭和33.12.25民三発1013号回答)

 

【代理権限証書】
後見人が未成年者を代理して行った法律行為を登記原因とする登記の申請をする場合には、後見人であることを証する書面の添付を要する(昭和22.6.23民事甲560号通達)

公正証書の遺言と自筆証書の遺言とが相次いで行われ、家庭裁判所の審判により、同一人が右の2つの遺言の執行者に選任された場合、その遺贈の登記は、登記簿上遺贈者名義とされているものについては、受遺者と遺言執行者との共同申請によって行うものとされ、この場合の遺言執行者の資格を証する書面としては、審判書のほか遺言書を必要とする。(昭和44.10.16民事甲2204号回答)

包括遺贈の遺言の遺言執行者は、包括遺贈者が生前に売却しその移転登記が未了である土地の所有権移転登記の申請の代理権限を当然に有するものではない。(昭和56.9.8民事三第5484号回答)

遺言者の指定による遺言執行者の代理権限証書(資格証明書)としては(遺言書のほか)その遺言者の死亡を証する書面を添付するのが相当である(昭和59.1.10民三第150号回答)

後見登記等に関する法律第10条の登記事項証明書において、任意後見人の代理権の範囲に財産の管理又は処分が含まれている場合には、その管理又は処分に係る不動産の登記申請についても代理権が及ぶことから、当該代理権の範囲に不動産の登記の対象となる物件が特定されていないときであっても、当該登記事項証明書を代理人の権限を証する書面として取り扱って差し支えない。(平成15.2.27民二第601号通知)

 成年後見人の選任の日から3月以内に申請される場合に限り、後見人の選任にかかる審判の製本又は謄本及びその審判の確定証明書をもって、成年後見人の代理権限を証する情報として取り扱うことができる。(登記研究740号159頁)

委任契約に係る委任事務の範囲について、不動産の管理及び処分に関する代理権を付与することが明らかにされてい委任契約書が公正証書により作成されているときは、これを登記の申請の代理権限を証する情報として取り扱って差し支えない。(登記研究741号145頁)

 

【登記申請の代理人】
登記申請の代理人は、登記申請却下処分の取り消しを求める訴訟の原告適格がない。(最判昭和63.9.8)

 

【代理権の効力】
委任による代理権は、登記申請受理のときにおいて存在していれば足り、登記実行完了の時までに委任の効力が消滅しても、登記の効力には何ら影響はない。(大判明治36.11.26)

 

【共同相続人である未成年の子とその親権者との遺産分割協議(利益相反にあたらない事案)】
共同相続人である未成年の子とその親権者との間の遺産分割協議によって、遺産の全部が未成年の子に帰属した場合には、当該行為は利益相反行為に当たらないので、その相続登記の申請には特別代理人の選任を証すべき書面の添付を必要としない。(札幌高判昭和46.4.27

 

【代理権限証書】
代理権限授与証明書は、代理権限を証する書面には当たらない。(最判62.9.11)

 

【双方代理】
登記申請の代理人には、民法第108条本文の適用がない(申請当事者の一方が相手方の代理人となり、また同一人が申請当事者双方の代理人となることができる)。(大正14.9.18民事8559号回答)

 

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